Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第8章 帰還■
リヴァイの舌が唇を割ってゆっくり入り込んでくる。
「んっ...」
指先で髪を耳にかけられたかと思えばそのまま両耳を塞がれた。
絡み合う舌の音と、溢れる唾液の音、リヴァイの息遣いと自分の息遣い
それだけがダイレクトに脳内に響き、ルーナは目をつぶった暗闇の奥で今にもトロトロにとろけそうな神経を感じた。
「んんっ...は...ぁ」
酸素を求め唇を離すとリヴァイはルーナの頬を撫でながら顔を離した。
リヴァイはとても悲しそうな顔をしていた。
他人から見ればもしかしたらいつもと同じ不機嫌そうな表情にしか見えないかもしれない。
しかしルーナには分かった。
この人が今、とても悲しんでいるのだと。
ふと考える。
この人には…ぶつけるものがあるのかと…
感情というものを何かに置き換えたりぶつけたりすることはあるのだろうか…
「お前は…なぜいつも何も聞かねぇんだ?」
「…え?」
突然言われた言葉の意味がわからず押し黙る。
「なぜお前は…いつもそうやって俺を受け入れてる?」
キスやハグのことを言っているのだろうか。
言われてみれば、恋人関係でもないのにおかしいかもしれない。
でも…
「そこに意味を…持たせなくちゃダメ…かな?」
だって私はキスやハグどころか、いくらでも体を差し出してきた。
それを一纏めの意味にしたくはない。
だってそしたらあなたに応えている意味だってそうなってしまう。
「リヴァイだって…どういうつもりで…いつも…」
ずっと聞きたかったけど聞けなかったこと。
でも今この瞬間ほど聞きやすい流れはない。
「お前に触れてぇ、って、思うからだ。それだけじゃ不十分か?」
いつもの無機質な顔が心なしか柔らかく見えてルーナはその言葉の意味と共にたじろぐ。
「なぜ私に触れたいの?」
リヴァイは腕を伸ばしてルーナの髪を掬い目を細めた。
「…さぁな。お前がいつも受け入れてくれる…から…かもな」
「…求められると…応えたくなる。…いや違う…応えなきゃいけないって気になる。」
リヴァイはたちまち眉間のシワを濃くし、睨むような視線を送ってきた。
ルーナはそれから逃れるように顔を背ける。
「誰彼構わずそうされてると思うと、俺は面白くねぇな」
「・・・してない。それに…」
リヴァイに関しては違う。
その言葉はなぜか出なかった。