Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第46章 烟月
その光景に心を救われた兵士はたくさんいただろう。
最期にこんなにも優しく安らかな死を迎えられるのなら…
そして親愛なるリヴァイ兵長に看取ってもらえるなら…
いや、自分の死が最期どんなものであろうと、たとえ彼に看取られなかったとしても、
この時のリヴァイの言葉と行動は、自分たちに大きな勇気と闘志を与えてくれた。
「私も、あなたの心臓の一部ですから。」
ゾッとするほど美しい藍鼠色の三白眼は、心からの忠誠を誓っている1人の兵士の強い眼光を捉えた。
「バリス…お前は何故そこまで俺に…」
「あなたは私にとって光なのですよ。決して曲がらない研ぎ澄まされた光を放つ刃…あなたがいてくれるだけで誰もが明るく照らされるのです。」
光はどんな闇をも凌駕するのだから…
「リヴァイ兵長はいつどんなときも前を向いている。あなたの光によって道が開けて、それで皆進んで行けるんです。だから皆あなたについて行きたいと思う。照らされた道がどれだけ危険であろうとも…」
危険を冒して前へ進もうとしない者、未知の世界を旅しようとしない者には、人生はごく僅かな景色しか見せてくれない。
「だが俺は…いくらお前のような奴らがいても、間違った道を進んでいると思うことがある。何が正しいかなんて分からない。いつもそうだ。」
「あやまちなどというものは存在しません。」
バリスの柔らかな表情は、いつも人を安心させるものだと思った。
「あやまちは、そこから必ず何かを学べる恵みなのですから。」
かけてくれる言葉もいつも、その時欲しくてやまないものを贈ってくれる。
そしてその度に、心に染みる消毒液の如く何かが内に流れ込んでくるのだ。