Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第46章 烟月
「うっ…う……う……」
痛みが相当に強いだろうということは誰もが見ただけですぐにわかる。
恐らく尋常ではない痛みと、そして沼に引きづり込まれるような感覚と戦っていることだろう。
医者が冷や汗を流しながら言った。
あまりにもこの兵士が可哀想だと思ったのだろう。
「兵長さん…やはりアレを…」
リヴァイはその言葉に顔色一つ変えず、そして目の前の兵士に視線を落として手を握ったまま長い瞬きをした。
その瞬きは何度目かで完全に目を瞑る形となり、そして数秒後にまた瞼が開いた。
「…打ってくれ」
たった一言そう言った。
医者がそれを用意する間に、兵士はまた聞こえるか聞こえないかの掠れた小さな声を出した。
「へい…ちょ…今まで…ありが……」
「何言ってる。お前は生き続ける。俺の中で。
俺をこれからも間違いなく強くしていく。ありがとう…」
リヴァイの優しく、しかし強い言葉が部屋に響いた。
それと共に兵士は僅かに笑みを浮かべる。
「安心しろ。お前はずっと、俺と共にある。
お前の心臓は、俺の心臓の一部になる。」
リヴァイが強く手を握ったのがわかった。
そして、ついにモルヒネを打たれたその兵士はすぐさま口を閉ざし完全に意識を失っていった。
瞳の色が消えていく。
手を握ったままリヴァイは瞬き1つせず最期まで兵士のことを見つめていた。
完全に脈が亡くなった兵士は、とても安らかな美しい笑みを浮かべていてその場にいた全員が息を飲む。
リヴァイが手を伸ばし、半開きの兵士の目を閉じさせる。
「よく耐えた。ゆっくり休め」
最後にそう呟いて。