Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第45章 月の女神と太陽神
どこからともなく風が吹き、2人の髪を乱雑に揺らした。
アリーはリヴァイからなにか話すのを気長に待っている。
「たまに…なにもかも終わらせてしまいたくなることがある…」
ポツリとリヴァイが言ったその言葉は小さすぎて、風にかき消されるように消えていったが、アリーの鼓膜には流れ込んできた。
「そう思うのはきっと…あなたに大切なものがあるからよ。大切な何かに気付いた時から、それを失うまでの時間が刻まれていく。その秒針がやけに大きく響いて自分の中の何かを壊していく…」
失うまでのカウントダウン。
それはもうとっくにスタートしていて…
失いたくないと思っても、気づいた時点でもう遅い。
「それでも大切にしたいと思うのは…人は何かを愛していないと立っていられないから…」
アリーはリヴァイが地につけている手指に視線を落とした。
陽の光でキラキラと輝くそれは、1度は憧れたことがあったものだ。
「誰かと共に歩む人生は常に難しいわ。」
だから私はいつしか憧れるのをやめたのよ…
アリーは心の中で呟いた。
「俺はあいつを大切にしてきたつもりだった…だが時々思うんだ。あいつは自身のことも俺のことも、大切には思っちゃいねぇんじゃねぇかと…」
リヴァイはリンクとウルフを見つめながら苦痛の表情を浮かべている。
事情は言えなくても、きっとなにか大きな出来事があったのかもしれない…
この人をこんなに弱々しくさせてしまうような何かが…
いや、あなたは
いつだって脆くて弱くて繊細で
強さでそれを誤魔化していただけだったわね。