Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第45章 月の女神と太陽神
しかし瞬時にその手を掴み下ろされた。
「ルーナさんじゃなくって残念」
徐々に視界が晴れてきて、瞳に映ったのは
呆れたように明るい声で言う女の美しい顔。
「アリー…お前…なぜここに…」
目を見開いて上半身を起こしたリヴァイにため息をつくアリー。
「それはこっちのセリフよ。なぜこんなところで寝てるのよ?…今日はルーナさんはいないの?1人?」
「・・・あぁ」
振り向くと、ウルフを撫でているリンクもいる。
「私たちは見ての通りお散歩よ」
確かに以前ここで会った時も、よく来る散歩コースだと言っていた。
「やぁ、リヴァイ兄!」
「おう…」
リンクの元気な声とは裏腹に、弱々しくリヴァイが返事をしたかと思えば遠くを見たまま黙りこくった。
アリーはそれを横目にクスリと笑った。
「懐かしいわ。あなたのそういう顔。あの頃も、しょっちゅうその顔をしていた。」
互いに肌を重ねていた時期だ。
ルーナと何かある度に、リヴァイはこの表情をしていた。
酒を飲み交わしているときも、話をしている時も、情事をしている最中でさえ。
「また、なにかあったのね。あの子と…」
その言葉で、ようやくリヴァイが視線を寄越した。
氷のように冷たく、生気が篭っていないような目だ。
誰もがゾクリと悪寒を感じて怯んでしまうようなその表情。
これを見ても顔色1つ変えないのはきっとアリーだけだろう。
「聞くわよ、あの頃みたいに…」
アリーは優しく微笑んで隣に腰を下ろした。
「…別に。何もない。」
「いいえ、ある。」
あまりにも懐かしいこの会話。
リヴァイは自嘲気味に口角を上げてしまった。
「リンク、ウルフを牽いていいぞ」
リヴァイはそう言ってリンクに手網を握らせた。
「ホントに?!わーい!行こうウルフ!」
リンクはまるで犬の散歩をするかのようにウルフを引っ張ってラベンダー畑の真ん中を目指して行ってしまった。
しばらく眺めていると、目の見えないリンクの方をウルフが散歩をしてやっているように立場が逆転しており、アリーは笑った。
「本当にかしこい馬ね。」
「あぁ、あいつは特別なんだ。昔ルーナが選んでくれて…それからずっと俺と一緒にいる」
「へぇ、そうなの!」