Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第44章 悪魔の誘い
「地上から来て、よくこれを買ってた奴がいなかったか?」
「うん、いたね。よく食べ物も持って来てくれた。めっきり来なくなっちゃったけどね。どーしてるんだろうあの姉ちゃん〜」
少女が初めて声を出した。
それは恐らくメリッサのことだろうとリヴァイは確信する。
「…そいつはもう来ない。」
「えっ、なんで?」
リヴァイは口を噤んだ。
事実を言ったらどういう反応をするだろう?
察するにきっとメリッサとこいつらは親しい間柄だった。
だが、いずれ分かってしまうことかもしれない。
それなら今自分の口からきちんと事実を伝えるべきだろう。
全てを託されたのは自分なのだから…
「あいつは死んだ。俺が看取ったんだ。あいつに頼まれて、俺はここへ来た。」
3人の目が見開かれ、瞳が揺れ出した。
沈黙が流れ、少女の目からは涙も流れた。
リヴァイは冷静な口調で沈黙を破った。
「墓参りに行かないか。一緒に。」
3人は俯いたまま目線を動かしている。
何を迷っているのだろうか。
「お前らがここにいる理由はなんだ?地上へ出たくない理由は?」
暫し沈黙した後に少年が答えた。
「地上はめんどくさくて煩わしいことばかりなんだろ」
リヴァイはため息を吐いた。
ガキが言うセリフじゃないだろと思い眉をひそめる。
「…そりゃ否定はしないが。あいつが、メリッサが、そんなことを言ってやがったのか?」
「違う。言ってはないけど見てればわかる。そんな薬漬けになっちまうくらい、やばい世界ってことだろ、上は。」
リヴァイの瞳がわずかに見開かれた。
メリッサといいルーナといい、薬に縋りつくくらいに心にダメージを負う者は多い。
そしてそれに一時的にでも助けられ、また欲するようになってしまう。
このループが起こる地上は、ある意味で確かに地下よりも"やばい世界"なのかもしれない。