Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第44章 悪魔の誘い
「左奥のキッチンは?入って右側の寝室は?ソファーや地下室も汚してねぇだろうな?」
そこまで言うと、ようやく扉の隙間が小さく開いた。
隙間から不安そうに睨んでくる少年を静かに見下ろす。
「ホントにここに住んでたのか?あんた…」
「ああ。入らせてもらうぞ。そもそも俺のうちだったんだしな」
そう言ってバッと強引に扉を開き、瞬時に中へと入った。
目を丸くして後ずさる3人を他所に、リヴァイはぐるりと中を見回す。
配置も何もかも、全てあの頃のままだ。
あまりの懐かしさに目を細めた。
しかし…
「てめぇら…やはり全然掃除できてねぇじゃねぇか。俺は掃除用具は一式ここへ置いていったはずだが?」
鋭く睨むと、1人の少年が言った。
「やってるよ、充分綺麗だろ」
「いいや、全然なってない。全てやり直せ。」
「「はぁ?!」」
3人の素っ頓狂な声が上がる。
リヴァイはそんな3人を見下ろしながら、つい昔の自分たちを重ねてしまった。
こいつらもこの世界で、あの頃の俺らのようになんとかうまくやっていけてるのか?
「まぁいい。今はお前らに掃除を教えている暇はねぇ。それよりお前らはなぜ地上へ行かない?ここにいるのは3人だけか?」
「…そうだけど?つーか、またその話かよ。」
「地上へのお誘いはもううんざりだよ。」
リヴァイの眉間にシワが寄った。
取り残されている訳ではなくて、ここにいたいという意思で孤児院には行かないのか?
「話を変える。お前らはこれを知ってるよな?」
そう言って例の小瓶を見せると、たちまち3人の顔色が変わった。
「安心しろ。俺らも昔、お前らと同じようなことをして日銭を稼いでいた時期もある。」
驚いたように口を開ける3人を見ながらつい顔が緩みそうになる。
こうしてコロコロと表情が変わるところはまだまだ健全な子供なのだと思い知らされる。