Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第44章 悪魔の誘い
リヴァイがつかつかと近寄っていくと、子供たちは慌てたように逃げ出した。
当然か…
たちまち見えなくなってしまった子供たち。
しかしこちらには立体機動がある。
リヴァイはまたガスを吹かして屋根に飛び移り、高台を目指した。
高い位置から見下ろせば、どこにいるのかなんて一目瞭然で、リヴァイは冷徹な目を貼り付けたまま上から後を追う。
「うわー追いかけてくるー!」
「ちくっしょー!」
どうすれば怖がらせないように近寄れるのか?
話ができるのか?
リヴァイにはそれが分からず一先ず上から声を落とす。
「おいガキ共、逃げても無駄だ。止まれ。」
それでも疲れることを知らないように超特急で駆けていく子供たちの行き着いた先でリヴァイは目を見張る。
「捕まるかよ!ばーか!」
そう言い捨てて3人が入っていったその家は、自分が昔ファーランとイザベルと住んでいたあのアジトだった。
ここもまだ健在だったんだな…
リヴァイは懐かしさと共に湧き上がる様々な複雑な感情を胸に、目を細めて地に降り立った。
トントン
自分のアジトをノックする日が来るなんて思いもしなかった。
リヴァイはこんな奇妙な状況に内心困惑する。
最初から全部夢なんじゃないかとさえ思えてきた。
トントン
息を潜めているのか、全く反応がない。
「なぁ、開けてくれないか?別に何もしない。話がしたいだけなんだ」
なるべく優しく言うように心がけたつもりだ。
しかし聞こえてきたのはカチンと来るような生意気な声。
「お前と俺らがなんの話しをするってんだ?」
「兵士なんかと会話する口は持ち合わせちゃいないよ」
リヴァイは一瞬眉を顰めたが、なるべく冷静な声色で言った。
「ここは元々俺の家だったんだ。だから今すぐこの扉を蹴り壊しても、文句はねぇよな?」
「・・・は?」
「ところでお前らは掃除はしっかりやっているのか?入って左側の椅子と机、その裏側まできちんと拭いているのか?」
「・・・」