Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第44章 悪魔の誘い
ダミアンが立ち上がるのと同時にリヴァイがドンとテーブルへいくらか札を置いた。
「これをやるからその場所を教えろ」
ダミアンはため息を吐きながらそこへ視線を落とすと、札から離れていくリヴァイの手を視線で追った。
その手に嵌められている光るそれを見ながら呟く。
「そういえばその子も…そんなような指輪をしてたっけな…まぁお前とその子がそういう関係じゃないことを祈るよ…」
ダミアンはこれ以上は何も聞かないというように押し黙った。
こういったところだけ変な気遣いができるダミアンにリヴァイは昔から奇妙に思っていた。
そして教えられた娼館の名をディーターに口にすると、ディーターはやはりと言った顔をした。
結局すんなりバレバレか…
ディーターはルーナのことを売ってしまったような気分になって心底居心地悪かった。
「あいつはその娼館で、目当てのもんを貰って戻ってきたのか?」
「・・・あぁ…」
ディーターは俯いたまま認めた。
「…そうか」
ディーターが顔を上げると、リヴァイは視線を地面に落として眉を八の字にしていた。
そんな切なげな表情を見てしまいディーターの胸にチクチクと痛みが帯びる。
「…俺は初めは止めたんだよ。事情はどうであれ、せっかくの新しい命を粗末にするなってな…でも…結局止められなかった。」
「・・・」
言葉を失っているようなリヴァイにディーターはまた俯く。
「すまなかったな…俺が案内しちまったのが悪い。やっぱり俺が力づくでも止めていれば…」
「いや…お前のせいじゃない」
ようやくリヴァイが小さく呟いた。
ディーターは顔を上げるが、やはりリヴァイの表情はさっきのままだ。
あんなに終始禍々しい気迫だった男と同一人物とは思えないほどの弱弱しい雰囲気に、眉を顰める。
「どうか彼女を責めないでやってくれよ…」
「…あぁ。俺は約束は守る男だ。それに…
…全部俺が悪いんだ……」
ディーターが目を見開いたのと同時にリヴァイが視線を落としたまま金を押し付けた。
ドンと胸に押し付けられたそれをディーターがそっと握りしめる。
キラリと一部が光るその手が離れていったかと思えばリヴァイは1人歩き出してしまった。