Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第44章 悪魔の誘い
ディーターに連れてこられた薬屋の前でリヴァイはため息を吐いた。
「なんだ、ここは健在だったのか…」
「え、知ってるのか?」
「あの頃と変わってねぇみてぇだなここは。」
自分たちがいた頃にもあったこの薬屋は地下では一番品揃えが多かった。
それに、ファーランとイザベルと共に仕事を頼まれていたこともある。
店に入ると、さっそく男がカウンターから顔を上げた。
リヴァイは相変わらずやべぇ臭いだと思いながら顔を顰める。
「…いらっしゃー…ん?…な…なに…?…
なになになになに待って待って!」
目の前にいるのが立体機動を付けた兵士だと分かるや否や男は突然慌てだす。
憲兵が取り締まりに来たのだと思ったようで顔面蒼白になっている。
リヴァイはフードをとった。
「え…」
「…久しぶりだなおっさん、随分と老けたようだが」
「ななななななんだ!どうなってる?!リヴァイか?!」
リヴァイの声を遮って大声を上げつつも、高揚したように目の色を変えた。
「お前はあの頃とあんま変わってねぇな?!調査兵になるとか言い捨ててったっきり会ってなかったが…ホントになってたんだな…兵士に…」
そう言ってリヴァイを上から下までジロジロと見た。
「あー、そういえばお前と一緒についてったあのガキ共は?ファーランとイザベル…だっけ?今日は一緒じゃないのか?」
その言葉にリヴァイの眉がピクリと動く。
「…死んだよ、とっくの昔にな。」
目を見開いたまま動かなくなった男と、リヴァイの仏頂面が向き合った形で沈黙が流れた。