Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第44章 悪魔の誘い
「それを…知ってどうするんだよ」
「お前は質問にだけ答えろ」
ディーターは渾身の力で暴れようとするが、男は小柄なのにビクともせず、ますます焦る。
こんなときにつるんでいる仲間が近くにいないことにため息すら出てきた。
「はぁ…あんたは…その子のなんなんだ…」
男が突然ナイフを取り出したのでディーターは勘弁してくれとばかりに顔を顰める。
そして逆手でナイフを首もとに突きつけられ視線を走らせると、それは見たことのあるナイフだと思って目を見張る。
さらにその手からはピカリと光るものが目に入った。
「…っ…まさか…あんた…」
「あ?」
ディーターが力を緩めると、僅かに男も力を緩めた。
「・・・あの子の……旦那…か?」
そこまで呟くように言うと、男は、身体を離した。
ディーターはゆっくりと向き直ると、男の指に光るそれを見つめた。
ルーナと同じもののように見える。
色もそうだし、僅かに混じっているゴールドのラインも…
「…そうだ」
ようやく男が答え、そしてフードをとった。
切れ長の鋭い三白眼に皺の寄った眉、色白で整った鼻筋と唇はまるで女性のようだとも思った。
「ほら、望み通り顔を見せたぞ。さっさと答えろ」
なんて上から目線なんだ、とため息を吐きながらディーターは言った。
「俺はディーターだ。…あんた…名前は?」
「…リヴァイだ」
リヴァイがナイフをしまいながら答えた。
そして目の前のディーターを見やると、驚いた顔で口をパクパクさせているので顔を険しくする。
「…なんだ」
「あんたかぁ、昔ここらで有名だったのは…」