Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第43章 神と善悪
ルーナはまたバリスの補助で食事を食べ始める。
しかし、ルーナの表情は先程のように何を考えているのかよくわからない笑みではなくなっていることにバリスは気付いた。
「どうしても傷つけちゃうの」
「っ…?はい?」
突然なんの脈略もなく言われ、バリスは聞き返す。
「どうしても大切な人を傷つけてしまう…
傷つけたくないのに、大切にしたいのに、どうして…かな…」
リヴァイ兵長のことを言っているのだろうか。
バリスは少し考えたあと落ち着いた口調で言った。
「人間は怖がりだから、最悪の事態を想定しておいて安心しようとするものですよね。マイナスな言葉を打ち消してほしくてわざとマイナスな言葉を相手に言ってしまったりとか…安心したくて、引き止めてほしくて、相手にわざとぶつけてしまったりだとか…」
ルーナは納得せざるを得なかった。
きっと自分はいつもリヴァイに対してそうやって甘えているんだと…
「そうだね、それで私は…あの人にいつも迷惑かけて…」
「それは違いますよルーナさん。」
言葉を遮ってまで否定され、ルーナはバリスを見つめる。
「リヴァイ兵長はあなたのことを迷惑と思ったことは1度たりともありません。ルーナさんにどれだけ尽くしていても、見返りを求めたことすらない。そもそも尽くしているという感覚すらない。それは無償の愛。つまり…」
…本物の愛なんですよ。
その言葉はルーナの心を鷲掴みにした。
しかし次の言葉はもっと強く自身を包み込んだ。
「リヴァイ兵長は、あなたに愛されるために愛しているのではない。
あなたが幸せになるために自分は犠牲になっているという感覚すらない。それ自体が自分の幸せだからです。」
愛されるために愛しているのは自己愛でありエゴである。
そして
自己犠牲をしてでも相手を愛したいというのも、結局は犠牲と思っている時点で同じことである。
まさしくそれはどちらも愛ではない。
愛とは、ただ相手の幸せだけを願うこと。
それなら…私も同じだ。
きっと私はちゃんとリヴァイを愛せてる。
ルーナはそう感じただけで泣きそうになってしまった。