Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第43章 神と善悪
ルーナはそのことをもちろん分かってはいた。
でもこれは…あなたのためでもあるのに…
ルーナはリヴァイを睨み上げたまま言った。
「…私が死ぬほど辛くても、眠れずに困っていても、それでも飲んじゃダメなの?」
「あぁ。こんな薬に頼るのは間違ってる」
リヴァイは胸ぐらを掴んだまま辛辣な顔で冷たく言った。
「じゃあ…私に死ねって言ってるの?」
「あ?どうしてそうなる」
ルーナの震える手が力なくリヴァイの手に置かれた。
「どうしてリヴァイは…そんなに強いの…なんでいつもそんなに平気な顔して何事も無かったように振舞っていられるの…」
違う。
私は知っているはず。
私だけはいつも分かってる。
リヴァイが本当はどんなに辛く、誰よりも苦しい思いをしているのか。
またチクチクと胸が痛くなり、重苦しくなった。
リヴァイの眉が下がり始め、掴んでいた手が緩んだのが分かる。
「エルヴィンが死んでも、あなたは…」
そこまで言うと、リヴァイの手がついに離れた。
自責の念に駆られてしまったのだろうということが分かり、ルーナは口を噤んだ。
一気に罪悪感が押し寄せてきたが、それはリヴァイも同じだった。
「早く…それを返して…」
震える声で、リヴァイが持つ紙袋を見て言う。
「ダメだ」
「…ど…して…」
「何度も言わせるな。お前は俺のもんだからだ」
リヴァイの顔がまた険しくなる。
ルーナは力なく呟いた。
「エゴイスト…」
リヴァイの目が僅かに見開かれたが、それは一瞬でまた冷徹な視線になった。
「…勝手に言ってろ」
そう言い捨て、床に寝そべっているルーナをそのままにリヴァイは紙袋を持ったまま足早に部屋を出ていった。