Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第43章 神と善悪
「ハンジ!!!おいハンジ!!!」
ドンドンドンドンドン
激しいノックの音と、切羽詰まった怒鳴り声に、ハンジは机に引っ潰していた顔面を剥がす。
また仕事や研究をしたままの姿勢でいびきをかいていたのだと気づき、寝ぼけ眼で口元のヨダレを拭く。
「クソメガネ!!おい!!この扉蹴り壊すぞ!!」
ドンドンドンドンドン
「ふぁ〜あ…リヴァイ?…なんだよこんな朝早くからぁ…」
あくびをしながら、立ち上がる。
逆の立場だったらいつもキレまくってるくせに…と思いつつ鍵を回し扉を開けると、今までに無いほど切羽詰まった気迫のリヴァイが立っていた。
「えっ?なに…どしたの」
「ルーナが消えた」
「はぁ?!?!」
「俺がきぜ…寝てる間に俺の私物を持ってどっか行きやがった」
ハンジの寝ぼけ眼に色が灯っていき、みるみる顔面蒼白になる。
「ちょ、ちょっとなんで…心当たりは?」
リヴァイは前髪をかきあげながら呟いた。
「全然分からねぇ…」
「っ…とにかく探そう。兵舎のどこかで倒れているかもしれないし…」
ハンジとリヴァイは兵舎中を走り回った。
広い兵舎には今、たった10人しかいない。
走り回る度に、息切れだけではなく胸が苦しくなるほどの空虚感とやるせなさが2人に押し寄せていた。
どこもかしこも、
うざったいくらいに賑やかだったあの光景はもう跡形もない。
文字通り、大きく抉り取られたような空虚感だ。
ルーナ…
まさか変な気を起こして屋上から…?
リヴァイは冷や汗を流しながら恐る恐る屋上から下を覗いて、死ぬほど胸を撫で下ろす。
食堂の刃物類を持ち出したりしてないか…?
ハンジは食堂を漁る。
荒らされた形跡はないし、全て揃っているようだ。
はぁぁぁ〜…深く息を吐く。
じゃあ一体どこへ行った?
リヴァイとハンジが最後にバッタリと出くわしたのは、やはり武器庫だった。
立体機動装置を装着し始める。