Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
「ねぇ、君たち、それをどこで入手しているの?」
「…俺ら売るのだけが仕事だからそんなの知らん。いろんな奴らの仕事手伝ってるだけだし」
少年がパンを飲み込みながら面倒くさそうに言った。
誰かから委託された仕事をいろいろしているのだろうと思った。
幼いながらに頭を使い、食べていくために必死なのだろう。
「他にも薬あるよ。これ返すから何か買ってってよ」
そう言ってルーナに紙袋を返すと、目の前にいろいろな薬を広げていった。
地下で2度も薬を売りつけられ、ルーナはため息を吐く。
「おい、お前ら、今金をもらったばかりだろう。調子に乗るな」
ディーターの言葉に子供たちが険しい顔になる。
「さっきの金は俺たちの懐に入るけど、商品の売主には入らないだろ。そしたら俺らがまた文句言われて仕事減らされて困るんだよ。評判が落ちても困る。」
ルーナは悲惨なその現状にいてもたってもいられなくなった。
「ねぇ、君たち、地上の孤児院で暮らさない?毎日ちゃんとごはんと寝床があるよ。私が案内するから。」
その言葉に、子供たちは眉ひとつ動かさずに言った。
「やだね。めんどくさい世界で暮らしたくない」
「でも…地上ならこんなことしなくても生きていけるんだよ?」
「自由がないのが嫌なんだよ」
「・・・」
ルーナは神妙な面持ちでディーターを見た。
ディーターは無機質な真顔で子供たちを見下ろしている。
"まぁ地下の方が生きやすいんじゃない?なにしろ地下は、ある意味どこよりも単純でシンプルかつ美しい世界だ。"
薬屋のダミアンという男が言っていた言葉を思い出す。
美しい…か。
ここへ来てから見てきたものや聞いてきた音は、とてもじゃないけど美しいとは思えなかった。
薄汚く不衛生で、野蛮で物騒な音しか聞こえない。
しかし、美しいというのは間接的なことを言っているのではないことは分かっていた。