Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
「ディーター、知り合いの子たちなの?」
ルーナの問いかけにディーターは頷いた。
「ここらじゃこのガキんちょたちは有名だよ。結構強いんだ。子供だからって舐めてかかると痛い目見る。」
「ちぇっ、まぁいいや。これ返してほしけりゃ金よこしなよ」
1人の少年がそう言いながらルーナを睨んだ。
「…わかった。じゃあついでにこれも…」
ルーナは懐からいくらかのお金と、そして夕食に自分が食べきれなかったパンを差し出した。
「ちょっとちぎれちゃっててごめ」
「うわああああああっっ」
相当お腹が空いていたのか、ルーナの手から金ではなくパンをひったくると、3人分け合って食べ始めた。
その様子にルーナの顔がみるみる歪んでいく。
リヴァイの言葉を思い出した。
"このパン1切れの価値もお前には分からねぇだろうが、地下ではこれは、命よりも高価なものだった。これを求めて常に命の奪い合いだ。つまりそのパン1つで、地下にいる奴の命1つを1日伸ばすことができる"
「1つしか持ってなくてごめんね…このお金で何か食べ物買えるかな…」
ルーナは手に握っていたお金を子供たちの前に置いた。
1人の子がそれを掴み取り、訝しげにルーナを見やりながら懐にしまった。
「ルーナちゃん、こいつらは自分らで金稼いでるからそんなに甘やかせることないぜ?」
ディーターが呆れ顔で言い放った。
「なぁ?お前ら」
「っせぇな。じゃあディーターあんたもこれ買ってくれんのか?」
そう言って少年が出したそれを見て、ルーナは目を瞬かせる。
クラムに使われた物、リヴァイの引き出しから出てきた物、それと全く同じ小瓶だった。
なるほど、先ほど薬屋の男が言っていた"ガキ"というのはこの子たちのことだったのか。