Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
「お目当てのもんは手に入ったのか?」
「うん。待たせてごめん」
少し嬉しそうにも見えるルーナを見ながらディーターは安堵したようにため息を吐いた。
ここまで来たら最後まで送ると言って地上への入口まで案内してくれて、ルーナは正直心底ディーターに感謝していた。
地下が2度目とはいえ、あの時はリヴァイたちを追うのに必死でここまで道や建物の分かりづらい場所だとは思っていなかった。
1人だったらとっくに迷子になっていただろう。
「ひゃっ!!」
突然体当たりされたかと思えば、持っていた紙袋が奪われたことに気づく。
「お、おい!あいつら!!」
ディーターが追いかけていくその先には、12.3歳くらいの子供が走って逃げていくのが見える。
ルーナは急いで2人の後を追いかけた。
せっかくここまで無事に事が進んでいたのに、まさか帰り際でこんなことになるとは…
ルーナは大切な薬を奪われてしまい頭痛を起こしそうになるほど焦っていた。
ディーターが追い詰めた先には、ナイフを持った3人組がいた。
どの子も同じくらいの年齢で、まるでこの世の全てを敵と見なしているような目付きで睨んでくる。
「はぁ、お前らなぁ、いつもそうして人のもん引ったくって…まぁ俺も人のことは言えんが…その中には金は入ってないぞ。取るのは金だけにしろ」
なんの説得力もないその言葉に、子供たちの表情が変わり始める。
「マジかよ、金じゃねぇのかよ…」
「食いもんでもねぇな、なんだこれ薬か」
2人の男の子に1人の女の子。
ナイフ使いに慣れているようでくるりと回しながら腰にしまい、紙袋を覗き込んでため息を吐いている。