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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第42章 深淵■


「なるほどね、あの娼館か。確かに孕んじまえば商品にならなくなっちまうからなぁ…」

ディーターはきちんと案内をしてくれた。
大柄な男が隣にいるからか、道すがら妙な視線を感じても誰も近寄ってさえ来ない。


「ところであんた、結婚してるんだな。」

ルーナが紙袋を持つ手に嵌めてある指輪を見つめながらディーターは驚いたように言った。


「あぁ、うん。そうなの。」

「…じゃあその旦那は知らないってことだろ?あんたが堕ろすこと…」

ディーターは気まずそうな表情を浮かべている。
ルーナは横目で見てからなるべく平静を装いながら落ち着いた声で言った。

「彼との子じゃないかもしれないし…」

「なんだって?!…あぁ…だからか…」

「ううん、それが主な理由ではないの。誰の子だろうと産むつもりだった…でももうそれができなくなった。」

「…っ…だがなぁ、どんな理由であれ、命は命だぞ?ホントに後悔はしねぇのか?」

「…後悔してる暇なんか、きっとない…」

「・・・」

ディーターはそれ以上は何も聞いてこなかった。


着いた先は、娼館には見えないような普通の佇まいの普通の建物に見える。

「ホントにここ?」

「そうだよ。コンラート娼館だろ。じゃあまたここで待っていてやるよ」

「あっ、そうだ、待って。」

ルーナはポケットから消毒液を取り出し、ハンカチに湿らせてディーターの首筋に当てた。
自分が先ほどナイフで傷つけたそこは、赤くなっていてまだ血が滲み出ている。

「っ…いいよ別に…」

「ダメだよ…雑菌が入ったら大変なことになる…」

血を拭ってから今度は手早くコットンとテープを取り出すと、少しディーターにしゃがんでもらい、手当をした。

「あんたいつもそんなもん持ち歩いてんのか?」

「うん。いつ誰かに何かあっても少しでも力になれるようにね…」

ディーターは初めて誰かにこんなことをされたと言って照れくさそうに視線を逸らした。

そしてルーナは深呼吸ひとつすると、娼館に足を踏み入れた。
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