Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
「おや、見慣れない顔だねぇ…上から来たの?」
ここへの入口付近。
深くフードを被っているのに、背格好で女だと見抜かれてしまったのか、大胆に顔を覗きこまれた。
無視して歩みを進めたのが気に入らなかったのか、ガッと肩を掴まれる。
「…なにか御用ですか?」
ルーナは振り向かずに止まり、至極冷静に言った。
するとその男以外の何人もの気配が周りから漂ってくるのを感じてフードの下から目線だけ動かす。
「可愛い声してるね、姉ちゃん。だが安心しろ。入場料さえ置いていってくれりゃ手出しはしねぇよ…」
リヴァイが以前言っていた通りだと思った。
地下では、一に金、二に金、まずは金なのだ。
溜息を吐いたまま微動だにしないルーナの両肩を掴む男の背後に瞬時に回り込み、腕を折り曲げるようにしてひねりあげた。
「うおぁっ!!!」
よく見ると、他にも4人ほどの男に囲まれていることに気がついた。
「てめぇっ!!!」
横から飛びかかろうとしてきた男を足蹴りで追いやると、腰からナイフを取り出した。
「来ないで」
そう言って掴んでいた男の喉元にナイフを突きつけた。
周りの男たちが顔を強ばらせて動きを止める。
「女だからっていい気になりやがって…」
そう言って暴れようとする男を壁に押しやると、ナイフを首に這わせ、ツーっと傷を付ける。
「…ぐっ…んなっ?!…」
只者じゃないと思ったのか、男は力を抜き、周りの者たちも後ずさった。
「私…情が効くのはここまでかもしれない…」
別に男に言ったわけではなく、心の中の呟きが声に漏れただけだった。
しかし男は降参したように焦った顔を向けた。
「わ、わかったわかった。離してくれ。何もしない。」
ルーナが腕を離すと、男は向き直った。