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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第42章 深淵■


愛馬のリルに跨り、超特急で夜空の下を駆け出す。

上を見上げれば、今夜は星も月も出ていないことに気が付き一気に切なさが込み上げてきた。



"要は大事なものを捨てられなかったからだ!"

フロックの言葉が夜空から降ってきたような気がして、上げていた顔を下ろす。


"俺は…ルーナさん、あなたのことは信用していますよ。エルヴィン団長の代わりに悪魔として俺らを導いてくれるって。あの時の言葉通り。
それなら、こいつらやリヴァイ兵長みたいに、情に流されたり大事なものを守ろうとして敵に背後を取られるようなことのないようにしてくださいね"


エルヴィンの意志を継ぎ、エルヴィンのように悪魔になりきり、最期の最後まで兵士として生きて戦う。
皆を地獄へと導いてまで死ぬまで悪魔だったあなたに負けないくらいに私も悪魔になる。
そしてあなたの見られなかった世界を見る。
あなたが最期まで成しえなかったこと、遺されたあの子たちを必ず勝利へと導くから…

あなたの努力を無駄にはしないから…
あなたの命も無駄にはしない…絶対に…

だから…


見ていてね…



"怪物と闘うものは、その過程で自らも怪物とならぬよう心せよ。
お前が深淵を覗く時、深淵もまたお前を覗いているのだ"



この残酷な言葉の意味…
今ならわかる気がするよ、エルヴィン。


怪物を倒すためには人間のままではダメ。
悪を倒すためには、敵を倒すためには、
善であってはダメ。

それでは勝てるわけがない

全てに打ち勝つためには、
自らも悪にならなくては勝てない。


善や情を持ったままの人間では怪物にも悪にも勝てない。


だからあなたはずっと悪魔だった。

そして私も…

あなたと同じように、
大事なものを捨てて深淵を覗いて

そしてあなたと同じところよりも、
もっと深くまで…



手紙は読んでいないけど、

きっとそう勇気づけたかったんでしょう、

エルヴィン…


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