Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
式典も終わり、後に回収したエルヴィンの葬儀も終わった。
エルヴィンの墓の前で跪くルーナを上から見下ろすリヴァイ。
ルーナは一言も発さずにただ黙ったまま墓を見つめている。
彼女はエルヴィンと何を話しているのだろう…
しばらくその様子をジッと見守りつつ、リヴァイはエルヴィンと以前した会話を思い出していた。
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「リヴァイ、お前は何か欲しいものはないのか?」
「あ?」
「人間なのだから欲しいものくらいは誰にだってあるだろう?」
「…ねぇよ、別に」
「…そうか…なら、行きたいところは?見たいものは?食べたいものは?したいことはないのか?してほしいことは」
「はっ、そういうのは女を口説く時に使うセリフだろ。てめぇに落とせねぇ女がいるかは知らんが、いたら今度使ってみるんだな。」
エルヴィンは寂しそうに笑っていた。
なぜ奴があんなことを言ってきたのか…あの時はわからなかった。
でも今なら少しだけわかる気がする。
俺に全てを背負わせてきたことに、少しだけ罪を感じていたのかもしれない。
自分の死期を悟っていたのかもしれない。
だがな、エルヴィン…
お前本当は全部分かってて聞いてきたんだろ。
確かめたくて。
俺はいつどんなときだって、
求めているのは一つだけだ。
ルーナとだったら…
どこで何をしていても何を見ていても、
なんだっていいんだ。
こいつがただ俺の隣で笑っていてくれさえすれば…
他に何もいらない。
ルーナは静かに立ち上がった。
そしてまた歩みを進めていく。
ナナバやミケ、シンや、先日の奪還作戦で死んだカイルやサラやモブリット…全ての部下や仲間たちを悼むように墓を見ながらゆっくりと歩いている。
リヴァイはその後ろを同じようにしてただ黙ってついて行った。