Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
「俺は…ルーナさん、あなたのことは信用していますよ。エルヴィン団長の代わりに悪魔として俺らを導いてくれるって。あの時の言葉通り。
それなら、こいつらやリヴァイ兵長みたいに、情に流されたり大事なものを守ろうとして敵に背後を取られるようなことのないようにしてくださいね…」
「っ!!お前ルーナさんに何言って」
「おいガキ共。時間だ、並べ。」
いつのまにか近くにいたリヴァイの声に皆の体がピクっと跳ねた。
ルーナは目を見開いて茫然としている。
「ルーナ…」
リヴァイの呼び掛けにも答えない。
しかしこれから自分も勲章授与のため女王の面前に並ばなくてはならないので近くにいたバリスに目配せし、その場を後にした。
「ルーナさん、僕らも行きましょう?」
バリスはルーナの両肩に手を置いた。
自分だけは異性として唯一、彼女に触れてもリヴァイから嫌な顔1つされない、それを許された立場だ。
だからバリスはそのままルーナの腕を引いた。
ルーナはゆっくりとバリスとともに歩みを進め始める。
「ね…バリス…私たちがもしその場にいたなら…彼を…選んだかな?」
彼とはエルヴィン団長のことなのだろうと思ってバリスは歩きながら静かに言った。
「どう、でしょうね…けれど全てを託されていたのはリヴァイ兵長なので…どちらになろうとも我々は信じて従うのみ、ですよ。」
「リヴァイはさ…リヴァイは…
彼よりもアルミンに情を宿した、のかな…」
なんとも答えづらい話だ。
それは少なからずあったとは思う。
なぜならリヴァイ兵長はとても優しいから…
それはいつもそばで仕えてきた部下の自分はとてもよくわかっている。
「情って…とっても邪魔なものだと思わない?正しい決断ができなくなったり、何かを捨てることさえもできなくなる。」
ルーナが歩を進める足元に目を落としたまま呟くように言う。
「……そうかもしれません」
バリスの額にじわりと汗が滲んだ。