Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
ルーナは俯いたまま肩を震わせている。
リヴァイはルーナの目の前に行くと、顔を覗き込むようにして言った。
「ルーナ、俺らも戻るぞ。」
「…嫌だ…ほっといて…」
「馬鹿言え。お前は今日まだ1度も食事を摂ってないだろう」
食事が喉を通りにくいことは分かる。
それくらい、ルーナの心情が乱れていることくらい。
というか、自分だって同じだ。
それでも現実をしっかり受け止め、生きることを諦めてはならない。
だから何か食べる必要がある。
「来い」
リヴァイはルーナの手首を掴み、引きづるようにして部屋を出た。
部屋に食事を運んでやっても、ルーナは頑なにそれに手をつけようとはしなかった。
無理やりにでも食べさせようとしても、顔を背け、目を合わせようとすらしない。
リヴァイは諦めた。
やはり今はそっとしておくべきかもしれないと。
エルヴィンという大きな存在が突然彼女の前からいなくなったのだ。
自分も辛いが、長年苦楽を共にしてきた彼女のほうが相当辛いだろう。
それにしても…
悪魔になるってなんなんだ。
あの叫びの意味は一体なんだ。
「ルーナ…今夜は独りにした方がいいか?」
リヴァイはルーナをベッドに座らせ、優しく言った。
しかしルーナは何も言わない。
息遣いすら聞こえない。
ならばそばにいてやるべきだろうか?
そう判断し、ルーナを抱えてベッドに寝かせた。
ベッドに腰掛けてルーナの頬に触れると、あまりにも冷たくて反射的に手が離れる。
まるで生気の篭っていない人形のようだ。
飲食をしていないせいで血流がうまく回っていないからだろうか。
ルーナがふいにリヴァイのその手を掴んだ。
「リヴァイ…1人にしないで…」
ポツリと小さく呟いたルーナにリヴァイは眉を顰める。
「するかよ…」
そう言って頭を撫でるとルーナはまた静かに口を開いた。
「…きっと今夜も眠れない」
ルーナが自分たちの帰りを待っている間もきっと一睡もしていなかっただろうことはリヴァイには分かっていた。
だから何がなんでも今夜は寝かせたいと思った。