Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第42章 深淵■
「初めはリヴァイ兵長も、エルヴィン団長に使うべきだと言い張っていたし、実際最後にもそうすると考えを曲げずにいた。…それで突然なぜ…考えを変えたんでしょうね?」
「…さぁ…リヴァイにもいろいろと考えがあったのかもしれな」
「納得できないですよ、教えてください。ルーナさんなら、リヴァイ兵長のこともエルヴィン団長のことも分かるでしょう?」
言葉を遮って問われたその言葉は、なぜだか胸にチクリと針を刺した。
目の前のフロックは眉を顰めて奥歯を噛み締めている。
相当悔しく、納得のできない出来事だったのだろう。
「…わからない…だって……他人だから…」
いくら深い関係だとしても、結局は他人ということに変わりない。
だからいくら考えたところで分かるわけが無い…
これはもうずっと前から思ってきたことだ。
フロックはため息を吐いた。
「これからエルヴィン団長無しでどうするんですか?」
そんなにその名前を口にしないで…
ルーナは耳を塞ぎたい思いでいっぱいだった。
「ルーナさん…あなたはエルヴィン団長に1番信頼されている付き合いの長い部下だと聞きました。親子や恋人みたいな関係だったらしいですね」
「ち…違うよ…あなたは最近駐屯兵団から来たばかりだから分からないと思うけど、私と団長は…ただの…同志…」
力なく言うルーナを、フロックは睨むように視線を刺し、強く言い放った。
「でもエルヴィン団長の右腕だったことは確かですよね?なら…ルーナさんが団長やってくださいよ。エルヴィン団長亡き後、あなたがこれから!悪魔として兵団を導いていってくださいよ!」
その言葉に、ルーナの顔が強ばる。
「おい、ここでなにをしている」
突然低い声が聞こえてきたかと思えば、フロックの後ろにリヴァイが立っていた。
なんの音も気配もなかったので、2人は目を丸くする。
「はぁ…リヴァイ兵長…ルーナさんとお話しているんですよ。」
「ほう、なにを。」
「エルヴィン団長無しでこれからどうするのかってことです」
リヴァイの睨むような三白眼が鋭く2人を交互に見た。
重苦しい空気が流れ、徐々に薄暗くなっていく窓の外から鳥の声だけが聞こえる。