Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第41章 光と闇
「それは私の方だよ…私がいつだってリヴァイをそんなふうに…」
心も体も傷つけて、迷惑かけて、
それでも許されて、また私は甘えて…
ルーナの顔がみるみる歪んでいく。
バリスはルーナに向き直り、柔らかい表情で笑みを零した。
「知っていますか?事実というものは実はないんですよ」
「…え、どういうこと?」
「事実というものは存在しないんです。存在するのは解釈だけなんですよ。…こと、感情においては。」
目を見開いて口を僅かに開けているルーナに、バリスは笑みを浮かべたまままた空を見上げた。
「面白いと思いませんか。…人って、それだからいつも感情がすれ違う。誰もが認める事実のみの世界だったら、争いあったり傷つけ合ったりはしない。何が正しくて何が間違っているかなんて…結局は誰にも分からないことなんですよ。」
それならば、なぜ感情というものが存在するのだろうか。
ときに抑制するのも困難なほど複雑で凶暴なそれは、本当に私たち人間に必要なものなのか。
愛する者の前でさらけ出してしまうそれは、正しくも間違ってもいない。
それは互いの解釈が決めることであり、事実は存在しないから…
「なぜ神様は…私たちをこんなに複雑に、感情を持つように作ったんだろうね…」
ルーナは呟くように静かにそう言うと、また遠くの星を眺めた。
「それはもちろん我々人間にメリットがあるからですよ。」
「…メリット?私にはデメリットしかないように思える…」
バリスは真剣な目をして顔だけルーナの方へ動かした。
「たとえばこうは考えられませんか?…喜びという感情は幸せになるためにある。恐れは自分の身を守るために必要で、怒りは自分にとって大切なものを守るためにある。」
「じゃあ…悲しみは?」
「悲しみは、失ったものを乗り越えるためにあるんですよ。」
バリスはルーナに向き直ると、ニッコリと笑った。