Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第41章 光と闇
私たちは、命を懸けてまでしてなぜ翼を欲しがるのだろう。
その翼を傷つけられれば下へ落ちるだけなのに…
そして飛ぶことをやめても下へ落ちるだけ…
今までいくつの翼がもがれてきたのか…
いくつの翼が消えていったのか…
「ルーナさん、ここにいたんですね…そろそろ中へ入ったらいかがですか?夜風も冷たくなってきていますし。」
屋上で独り佇み夜空を見上げているルーナに声をかけるバリス。
奪還作戦は2日がかりで行われる予定だ。
今は一日目の夜。
明日の早朝にはルーナとバリス以外の調査兵団はきっと闘いの最中だろう。
「…眠れないの」
「そうですか…」
バリスはルーナと共に残るように命じられていた。
もちろん留守番というよりも、言い方は悪いがルーナについての護衛兼監視だ。
バリス自身はリヴァイたちと共に闘いに挑みたかったのだが、これも大きな任務の一つであることと理解し承諾した。
リヴァイたちの無事を信じて、未だ状態が安定しないルーナを見守る。
彼らにとっては大切な任務の1つを、自分が一番信頼おけるとリヴァイに言われて託された以上、バリスは成すべきことを成そうとここに残ることを決めた。
いつまでも夜空を見上げたまま振り向きもしないルーナの隣に行き、バリスも上を見上げる。
そして思わず息を飲んでしまう。
そこには満天の星と輝く月が煌々とこちらを照らしていた。
「こんな風に夜空を眺めたのなんて久しぶりですよ僕は。」
「そうなんだ。私はここによく来るよ?昔はリヴァイともよくここで星や月を眺めてた。」
ルーナが眉を下げて静かに言う。
長いまつ毛が空の輝きによって光り、寂しげな顔に影を落としている。
バリスはそのなんとも言えない表情のルーナを横目で見ながら問いかけた。
「…ルーナさんはここで夜空を見上げて、何を考えてらっしゃるんですか?」