Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第40章 博打
「前に俺は言ったろう?俺にだって抱えたままどうしようも無い感情や記憶があると。だがそれを目の前に置いたままでは冷静な判断が下せないのだと…
だから俺は蓋をしてきた。不用意にそれが開かないように、誰にも開けられないように、固く…閉ざして…」
目の前で自分を見つめるリヴァイの眉間にみるみる皺が寄り始めるのを見てエルヴィンは小さく笑った。
「俺の中にあるそれを壊してくれる強靭で純粋な力を…ずっと探し求めていたのかもしれない。
そしてルーナのそれも…壊してくれる誰かが欲しかった。」
リヴァイが奥から絞り出すような低い声を出した。
「ルーナの箱は…壊れた。…それは俺の力じゃねぇと思ってたが、あいつは俺が壊してくれたんだと言い張ったんだ。」
「それは真実だと思うぞリヴァイ。
やはり俺の博打は外れなかったようだ…でなければ俺もルーナも、やすやすとお前に命を賭けたりはしない。」
リヴァイはグッと奥歯を噛み締める。
これほどまでに、自分の存在価値の高さを思い知らされたことはない。
なんのために生まれ、なんのために生きているのかもわからず、ただ地下のゴミ溜めを這いずり回っていた。
自分は強いと自覚はしていても、自分の命の価値は無いに等しいと、ずっと思っていた。
「なぜ俺だったんだろうな…お前らが賭けたのは。」
リヴァイはずっと心の内に秘めていたことを、力なくポツリと呟いた。
その言葉に、エルヴィンは真剣な炎を宿して力強く言った。
「俺たちとお前が、同じだったからだ。」
「…あぁ?全くわからねぇな。どこがだ」
生まれた時からずっと地下で育ち、ゴロツキの犯罪者だった自分と、地上で生きて巨人と戦う崇高な兵士。
これのどこが同じだと言うのだろう。
リヴァイは顔を顰めた。