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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第40章 博打


ジッとそのカップを見つめていると、エルヴィンがそれを受け皿ごと持ち上げた。
そのまま目で追っていくと、備え付けのキッチンへそれを置き、新しいセットを棚から取り出した。

どうやらまた紅茶でも淹れようとしているのだろうと分かり、そんなものはいいと言いたいところだったが、今回はなぜか何も言えずにひたすらその様子を眺めていた。

左腕だけでなんともやりにくそうだ。
しかし本人は今まで、そのことで不満を漏らしたり不自由さを感じさせるような言動をしたこともない。
むしろこうなることは当然だったかのような、そんな奇妙な印象を思わせた。

"俺が今まで巨人に何人食わせて来たと思う?いつか行く地獄でそのツケが払えるといいんだが"

エルヴィンが言っていた言葉を思い出す。
きっとあれは本心なのだろう。



そして今回のウォールマリア奪還作戦。
これには手負いのエルヴィンは連れていきたくないと思っていた。
両足の骨を折ってまでここに残らせようと思っていた。


その時の会話が脳裏で反芻される…



"お前は椅子に座って頭を動かしているだけで充分だ。
巨人にとっちゃあそれが1番迷惑な話で、人類にとっちゃあそれが1番いい選択のはずだ"


"確かにお前の言う通り、手負いの兵士は現場を退く頃かもしれない。でもな…この世の真実があきらかになる瞬間には、私が立ち会わなければならない"


ルーナと兵舎へ残り、果報を待てと散々リヴァイが言ったのに、断固としてエルヴィンはそれを受け入れなかった。
脅しの文句まで付けたというのに…
それほどまでに、地下室に眠っている真実が知りたいらしい。
そこに、今まで求めてきた夢があるのだと信じて…



しばらくして、エルヴィンが紅茶をリヴァイの目の前に置いた。
それを睨むように見つめたまま問う。

「…俺にだけ飲ませて、お前は飲まねぇのか?」

「さっきルーナと飲んだんだよ。またルーナの言う通りに淹れたというのにあまり反応は良くなかったが。」

「…だろうな」

リヴァイが不機嫌そうに洩らすとエルヴィンはフッと笑った。
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