Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第40章 博打
いつも通り、ノック無しでエルヴィンの部屋に入ると、エルヴィンは突っ立ったままボーッと窓の外を眺めているようだった。
「おい、来たぞ。……エル…」
振り向いたエルヴィンを見て言葉に詰まる。
泣い…ていた?
そう思うくらいに眉をひそめ、潤んだ目を赤くしていた。
開けていた窓から、さぁぁあ〜と大きな風が吹き混んできて、書類がパラパラと舞う。
それと共にエルヴィンの長いまつ毛が揺れたかと思えば目を細めてからそのまつ毛を伏せるように俯き、そしてパタンと窓を閉めた。
今まで1度も見たことのない、言葉では言い表せないほどなんとも言えないその表情に、リヴァイの目は見開かれたままだ。
窓際のその男はまるで、差し込める陽の光が反射して煌々とした姿の、人間以外の何かにも見えるような気がした。
よくこの男が自称している"悪魔"がこれなのだろうか?
伏せられたまつ毛がまた開くと、目を見開いていたリヴァイに気付き、潤んだ瞳を隠すように笑った。
「ははは…」
「てめぇ…何を笑ってやがる…」
「…いや。窓を開けていたら冷気に晒されたようでな…」
エルヴィンは親指で目を擦ったあと、赤らんだ視線をようやくリヴァイの三白眼に向けた。
「……もう少しマシな言い訳はなかったのか?」
「あぁ。そういうのは苦手なんだよ、俺は…」
「……知ってるよ」
リヴァイはため息混じりにソファーへ腰を下ろした。
目の前には飲み干されたカップが2セット置いてある。
片方は先程までルーナが口をつけていたものだろう。