Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第40章 博打
そのあまりの気迫に気が付いたのか、目の前の憲兵は冷や汗を流しながらリヴァイを見た。
「…ん…?…兵士長殿…何かご進言でも?」
少々狼狽えながらそう言葉に出すと、リヴァイは真っ直ぐ見つめたままのその表情で答えた。
「…いえ何も。おっしゃる通りかと。」
ルーナはビクンと鼓動が跳ねるのがわかった。
リヴァイの敬語を聞いたのはこれで2回目だ。
しかもその口調も表情も氷のように冷たく、一気に部屋中が冷気に包まれたかのような雰囲気になる。
いつも粗暴で目上の者や誰に対しても荒っぽい乱暴口調の男が突然丁寧な言葉を喋り出すと、なぜこんなにも恐ろしく感じるのだろう。
皆の緊張感が漂い空気が張り詰めるように静かになる。
その空気を解すようにエルヴィンが口を開いた。
「全てはウォールマリア奪還の大義のもと、我々は壁のそとでも壁のなかでも血を流し合いました。我々と致しましては、そのために失われた兵士の魂が報われるよう、死力を尽くし挑む所存です。」
その力強い言葉に、皆が息を飲む。
「あぁ…君もそろそろ報われてもよいはずだ。シガンシナの地下室に君の望む宝が眠っていることを祈っているよ…」
ルーナは神妙な面持ちでエルヴィンを横目で見つめた。
言葉にできないくらいに、玲瓏なその瞳は前を見据えていて、しかしそれはどこか遠い場所を見ているような不気味な印象さえも与えてきた。