Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第38章 溺れて沈む
「愛する者の前では誰だってそうだ。それが普通の人間の本質だからだ。…だからリヴァイ、お前は普通の人間であり、普通の男なんだよ。」
リヴァイの目が大きく見開かれる。
俺は異常者では…ない…のか…
「なぁ、リヴァイ。お前はルーナと最期の瞬間まで共に歩んでいくと誓って夫婦にまでなったのだよな」
「…あぁ」
「誰かと寄り添い合い、共に歩み、共に生きていくということは、互いのそれを支え合うということと同義だ。
そしてそれは時に、鬱陶しいと感じることもあるだろう。
なぜなら、どちらかが躓いたり転んだりすれば、それによって自分も転びそうになるからだ」
「俺は…そうなったとしても鬱陶しいとは思わない」
エルヴィンの辛辣な言葉に、リヴァイは睨むようにして顔を上げて言った。
「あぁ、そうだろうな。ならば自分もその手に引かれて躓いたり転んだりするのではなく、自分がその手を引っ張りあげ、また相手を立たせなくてはならない。
置いて行くということも許されない。
転んだ相手の傷は自分が治してやり、そしてまた隣で歩みを進めていく。
…共に生きるということはそういうことだ。」
強く真剣にそう言い放ったエルヴィンの眼光が、目の前のリヴァイの眉をひそめた三白眼に突き刺さる。
「だからお前はルーナと共に一緒になって溺れ、沈んでいくのではなく、お前がルーナを引っ張りあげ、そして地上へと戻し、またお前の隣に立ち上がらせなくてはならない。」
それがお前の役目だろう、リヴァイ。
エルヴィンはそう強く言い放った。
今まで自分に向けたことがないくらいに鋭く真剣な瞳に、リヴァイは目を見開いて僅かに怯む。
そして同時に、エルヴィンに今言われた言葉を自分の中で何度も反芻した。