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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第38章 溺れて沈む


しばらくして、エルヴィンが受け皿ごと紅茶を手渡してきた。
リヴァイはその皿は受け取らず、カップの縁を上から掴むようにして持ち上げる。


「前から不思議に思っていたんだが…お前はなぜいつもそのような持ち方でカップを持つ?」

エルヴィンが向かいに置いた椅子に腰を下ろし、紅茶に口をつけながら言う。


「あ?俺が紅茶をどう飲もうが勝手だろう」

「ふっ…そうだな。じゃあそのまま飲んでみてくれよ」


リヴァイは心底不機嫌そうな顔をしながらそれを1口飲む。
そしてみるみると顔を顰めた。


「…てめぇこれ…蒸らしが足りねぇぞ。う…」

「んっ…そうか?ルーナが言っていた通りにやったはずなんだがな…ふーむ…」

そう言いながらまた紅茶に口をつけるエルヴィン。


「…ルーナにそんなことを教わってたのか?てめぇはいつだってコーヒーしか飲まねぇだろうが。」

「あぁ。その通りだ。だがいずれこんな風にリヴァイと紅茶を飲む日が来るような気がしていたからな」

「はぁ?」

リヴァイは呆れたようにため息をつき、また紅茶を1口啜った。


「結構うまいと思うのだがどうだ?」

「…不味いな。ルーナがいつもいれてくれるもんとは大違いだ」


エルヴィンはフッと笑いながらサイドテーブルにカップを置いた。


「だが泥水を啜るよりはマシだろう?」

その言葉に、リヴァイの眉がピクリと動く。
そして紅茶からのぼる湯気を見つめながら言った。


「そうだな…あの時みてぇに、てめぇに泥水を啜らされるよりはな…」


リヴァイは久しぶりにあの時のことを回想した。
エルヴィンとルーナが地下街で自分を捕らえ、地面に溜まっている泥水に顔を押し付けられたあの時だ。

それがこうして今ではこいつやルーナと紅茶を飲む仲になっている…

なにがどうしてこうなった?

本当にこれは現実か?


昔のことを反芻すればするほど、
この目の前の奇妙な状況が、実は全て夢なのではないかと思えてきてしまう。



あのとき自分がした選択は…

本当に正しかったのか?
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