Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第38章 溺れて沈む
「まぁ…情、ってやつかもな…」
それもある。
けれど、本当は、ルーナの同意があったという事実がそうさせたのが1番大きかった。
そうじゃなければ確実に、絶対に、なんの躊躇いもなく殺していただろう。
ルーナが奴を受け入れていたなど信じたくはない。
けれど、今までのクラムとルーナの行動からは、それが事実なのだろうと頭のどこかで納得してしまったのだ。
「ねぇ、そんなことよりルーナは大丈夫なの?薬飲まされたって…」
「しかも同意の上だったとは…それは本当なのかリヴァイ?」
ハンジとエルヴィンは眉を顰めて口々に言う。
「今は自室で寝ている。同意の上ってのは…多分本当だ…」
リヴァイの言葉に、2人は目を丸くする。
そして次の言葉で表情が更に一変する。
「依存性の高い薬らしい…俺が地下でも見た事のあるそれだ。」
2人は言葉を失った。
そしてリヴァイが冷たい真顔を貼り付けたまま言う。
「こうなったのは…俺の責任でもある」
「え?」「は?」
リヴァイはそれ以上は何も言わなかった。
クラムに言われた数々の言葉がリヴァイの脳裏に嫌というほど刻まれていた。
いつでもルーナの重荷になっていたのは自分で、
心も体も傷つけていたのは自分で、
だからルーナは沈んでいった。
"ルーナさんの心も体も傷つけているような人が、
彼女に対して愛を語ったり、他の男を咎めるようなことをする資格は無いです!"
クラムの言葉が反芻され、チクチクとまた胸が痛みだす。
けれど…
仕方ないじゃないか
だって自分はもう
彼女のことを知ってしまったのだから。
出会う前からやり直せるなら
もしかしたら自分は違う選択をしていたかもしれない。
彼女のために、
出会わない
という選択を。