Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第37章 エゴイスト■
「俺の責任でもあるんです。だからこいつを殺るならまず俺を殺ってください。」
ナイフを握る手が強まり、また血が滴り落ちる。
リヴァイは床に落ちるそれを見つめながら短く息を吐き、手を離した。
カイルが震える手でそのナイフをもう片方の手で持ち直すと、リヴァイは胸元からハンカチを取り出し、カイルに渡す。
「なぜ一晩のうちに2度もお前にこれを差し出さなくちゃならない」
「…すいません、2枚とも新しいものに変えてお返しします…」
呆れたようにリヴァイが溜息を吐く。
「いや、そんなことはいい。それより…
お前はこのクズが何をするのか初めから知っていたのか?」
血が滲んでいくハンカチを握りしめながら、クラムをちらりと見る。
「いえ…ただルーナさんと会う…としか…」
リヴァイは一瞬探るように目を細めたが、それが事実だと分かったのか、クラムに向き直った。
「…俺がこいつをここで殺らなくても、退団にはなるだろう。そのくらい…いや、それ以上のことをした。」
カイルの顔がみるみるこわばり出す。
「え……なにを…したんだよ…クラム?」
クラムはさっきからずっと俯いたままで表情が全くわからない。
「ルーナに薬を飲ませて強姦した」
カイルの目がこぼれ落ちそうなくらいに見開かれる。
そしてようやくクラムが笑いながら口を開いた。
「は…ちょっと…ふ…違うでしょう兵長。
俺言いましたよね?…合意の上ですよ、薬も飲ませたのもセックスをしたのも…」
カイルは強ばった表情のままベッドに横たわるルーナを見やる。
「薬って…クラムお前…やっていいことと悪いことがあるぞ?!合意の上だったとしてもそれだけはダメだろ!」
「何言ってるカイル。お前だって、それに依存してるメリッサを見て見ぬふりしてたじゃないか」
カイルが押し黙る。
その様子にまたクラムはフッと笑みを浮かべる。
しかしそれは、どこか寂しげに眉をひそめたような笑みだ。