Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第37章 エゴイスト■
「・・・なぜさっきから何も言わないんですか?それに、なぜ早く俺を殺さないんです?ずっとそんなふうに…震えてますけど…」
ナイフを持つ手に視線を落としながらクラムは眉を下げた。
リヴァイ自身も言われて気がついた。
小刻みに、微かに、刃が震えて光っている。
「俺を殺すことも自分のエゴってわかってるからですかね…ルーナさんは望んでいないのに、自分の我欲だけで俺を殺すということに…何かを感じているとか…?」
「てめぇ…ここまでペラペラ喋ったんだからもう、言い残すことはねぇよな?」
奥から絞り出すような低い声を出して 更にグッとクラムを壁に押し付けた。
「…はい、あ、あと1つ。あの妙薬、どのくらい強いか分からないんですよ。でも少なくともメリッサはかなり依存していた…」
リヴァイのこめかみに青筋が立ち、狂おしいほどの憎悪がみるみる頭に登ってくる感覚がする。
「てめぇ……」
怒りで震えるナイフを振りかざしたその瞬間、
ガタン!!!!
「っ!!待ってくださいっ!!」
カイルが叫びながら部屋に入ってきた。
いつまでも帰ってこないクラムを心配になって探しに来たのだ。
2人の様子に顔面蒼白になりながら駆け寄ってリヴァイの振りかざすナイフを握る。
「兵長・・・クラムを…殺さないでください…」
「…よせ。指が無くなるぞ」
ナイフを握るカイルの手からは血が滴り落ちている。
しかしそんなことには目もくれず、真剣な眼差しでリヴァイを見つめている。
「こいつのこと、許してやってほしいとは言いません。でもせめて…殺さないでください…」
声が震えているが、とても強い気迫を纏って言うカイルをジロと睨むと、リヴァイは微動だにせずに至って冷静な口調で言った。
「いくらお前がこいつの親友でも、お前には関係のねぇことだ」
「いえあります!…猫のことは…俺の仕業なので…」
そのことは、こうなった時点でもう大方予想は着いていたので別段驚きはしない。
眉ひとつ動かさずに、冷淡な顔を貼り付けたまま再度クラムに視線を移すリヴァイに、カイルは焦る。