Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第37章 エゴイスト■
クラムは不気味な笑みを浮かべてその光る切っ先を見つめている。
「…俺はあなたのことも怖くはないけど、死も怖くない。
でもあなたは違いますね、リヴァイ兵長…」
リヴァイは今にも殺めそうなほどの圧倒的な気迫を目だけで放ちながら、ナイフの切っ先をクラムの首筋へ付けた。
「…兵長、あなたは死を恐れている。
そして俺のことも…実は怖いと思っている」
リヴァイの目が細まり、クラムの首にはツーと血が流れた。
「人類最強で、何をも恐れずに立ち向かっていく強く逞しい様は…それと全く正反対の本当の姿を隠すのに充分だ…あなたの二つ名って、それを象徴しているように俺には見えるんですよ…」
「・・・何が言いたい」
「気をつけた方がいい…あなたみたいに何もかもを背負おうとする人はいずれ…その重みに耐えきれなくなって沈んでいきますよ。そして溺れて…気がついた時にはもうそこから出られない…」
流れていく血がクラムの服を染めていく。
全く表情を変えずにまっすぐリヴァイの眼光を見つめる様は、痛みも恐怖も何も感じていないようだ。
「・・・いま、どのくらいあなたの心は重たいですか?その重みってきっと、ルーナさんも含まれてますよね?」
クラムの目が細まっていき、リヴァイの揺らぐ瞳を捉える。
「あなたの大半を支配しているのはルーナさんだってこと、分かりますよ。ということは、その重みの質量も大半はルーナさんだ。」