Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第37章 エゴイスト■
「おいカイル!お前に言われた通りリヴァイ兵長呼んできたのに、なんかどっか行っちゃったぞ!」
「えぇっ?!…あぁっ!おい猫がそっちに逃げやがった!」
他の兵士が慌てて追いかけると、追いやられたようにその猫は物置の下に隠れてしまった。
「あーどうすんだ?これじゃ捕まえらんないぞ…」
「にしてもなぜこんなところに猫が紛れ込んでる?」
「誰かが隠れて飼っていたのかな?」
「まさか外から野良猫連れてきた奴がいたのか?」
数人の兵士が口々に言い合っていると、カイルは息を荒らげてしゃがみ込んだ。
「そんなことどうだっていいから、とりあえず力づくでもこいつを引っ張り出さなきゃな」
「おい、待て」
奥から絞り出したような低い声に、全員が驚いたように振り返ると、そこには肉の塊を持ってこちらを睨んでいるリヴァイがいる。
「これを使え」
ポイと投げたその肉を、カイルがキャッチする。
「なるほど…ありがとうございます!」
カイルがそれを猫の前にかざし、うまく誘導しようとする。
しかし怯えきっている猫はそれには反応を示さずにさらに奥へと引っ込んでいってしまった。
「おい、早くしろ」
「やっやってますけど…あーまた奥に…」
「チッ、そこを退け」
リヴァイがカイルの手からそれをひったくってしゃがみこむと、隙間に差し込み奥の方へと滑らせた。
目の前に肉を差し出された猫はくんくんと鼻を動かしながら、チラチラとリヴァイの鋭い三白眼を見つめている。
「ほら……」
リヴァイが肉を置いたまま手を引いたからか、少しずつ近づいてきた。
それと同時に徐々に肉をこちら側に滑らせる。
肉におびき寄せられるようについにその猫は頭を出し、そして僅かに胴が見えたところですかさずリヴァイの頭上から誰かに首根っこを掴まれた。
ニャーーー!!
悲鳴とも取れるようなその鳴き声とともに宙に浮かぶ猫。
「おっしゃー!ようやくだ!」
「さすがリヴァイ兵長っ!!」
口々に歓声を上げる兵士たちをリヴァイは睨みつける。
「うるせぇよ。怯えちまってるだろうが。
てめぇそいつをそんな持ち方するな」
そう言って首根っこを摘まれているその猫の脇を優しく持ち上げた。
そんなリヴァイの意外な行動に兵士たちは沈黙する。