Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第37章 エゴイスト■
「あ、待ってください!リヴァイ兵長!…はぁ…はぁ…」
後ろから息絶え絶えに呼び止められ振り返ると、急いで走ってきたのか荒い息を吐きながら焦ったような顔をしている男兵士が1人立っていた。
「なんだ。クソ漏らしそうな顔しやがって」
もう一般兵士ならば風呂に入り終わり各々部屋に戻って寝支度をしている頃の時間だ。
リヴァイはバリスに言われたことで決意を固め、仕事を終わらせたあとにルーナの部屋へ行こうと廊下を歩いていた。
「たっ大変なんです!…はぁ…は…」
「あ?」
かなり不機嫌な表情を貼り付けたまま向き直ると、男はドキッとしたように一瞬怯んだが、慌てて話を続けた。
「しょ、食堂にっ…なにかがっ、紛れ込んでいましてっ」
「…なに?」
更に眉間の皺を濃くすると、男は焦ったように早口で言った。
「とにかく早く来ていただきたいんです!もうごっちゃごちゃで!せっかくいつもリヴァイ兵長とかルーナさんが掃除して下さっているのに!とにかく荒れ」
そこまで聞くと、リヴァイは血相を変えて男の横を足早に通り過ぎた。
男は慌ててその後を追っていく。
そしてその食堂の状況に驚愕する。
割れた食器がそこら中に散らばり、明らかに何かの小動物の足跡がそこかしこに付いている。
そして数人の兵士が必死になってその小動物を追いかけ回しているようだ。
「おいガキ共…これはどういう状況だ?」
まさに汚いものを見るような目で言うリヴァイに気付いた兵士が、小動物を追いかけ回しながら声を荒らげた。
「あぁっ!リヴァイ兵長!!大変なんです!
このっ…ねっ猫がっ…あぁ!!そっち!!!お前ら!!」
しかもその兵士はカイルだった。
「てめぇらとっととそいつを捕まえろ!じゃねぇと掃除ができねぇだろうが!」
「わっ分かってますって!でもっすばしっこくって…あ!」
いつまでも追いかけっこをしている兵士たちに舌打ちしたあとリヴァイは冷静な態度でつかつかとキッチンの奥にある食料庫の方へ行ってしまった。