Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第37章 エゴイスト■
「それでも俺はどうしてもあいつの全てを知りたいんだ…1つ残らずなにもかも、全部を。…もしもそれが叶わないのなら、力づくでも自分の手中に留めて、…そして握り潰しちまいたくなる…」
奥から絞り出すような低く掠れた声と、奥歯を噛み締めた音がした。
「これは愛じゃねぇだろ…独占欲、支配欲…ただの俺のエゴだろ」
「リヴァイ兵長、それは考えすぎです、
あなたがルーナさんを存分に愛していらっしゃることは私にも分かっていますよ」
「…俺がお前にいつもルーナを監視するよう命じているからか?
だからそれが俺の独占的な支配欲でありエゴなんだろう」
「違います!」
真剣な顔で言葉を強めたバリスに、リヴァイの瞳孔が開く。
「あなたがいつだってルーナさんのことを想っているからですよ。ご自分のことよりも彼女のことを常に心配して、気にかけて、考えている。
これのどこがエゴなのですか?」
人を愛することは言葉で言うほど簡単なことではない。
複雑な糸が絡み合って、時に一生ほぐれない物になることさえある。
無理に切ろうとして刃を取り出せば自分を傷つけ、
ほぐそうと躍起になれば爪で引っ掻いてしまう。
「だが俺はあいつに確実に執着している。その想いが強すぎて、あいつを不自由にして苦しめて、全ての自由を奪いたくねぇんだ。」
自分の抱く想いに執着すると、人は苦しくなる。
人間が抱く様々な想いは結局どれも、質量の問題だ。
その質量が重ければ重いほど、それによって自分をも他人をも潰してしまう。
「自由…?…自由ってなんの自由ですか。あんな状態のルーナさんをそのままにしておくことが?…それで彼女に自由を与えているとでも?」
「・・・」
「それは自由を奪っていないとは言えないし、自由を与えているとも言えない。…それこそが、、あなたのエゴです。」
リヴァイの目が見開かれる。
微かにひゅっと喉に空気が入り込む音が聞こえ、バリスは躊躇わず続けた。
「兵長、あなたは…ただの都合のいい人になっていませんか?」