Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第37章 エゴイスト■
「…一体どうしたというのですかリヴァイ兵長。蹴りのひとつくらい入れても誰も文句は言えませんよ。私はもう限界です」
いきり立っているバリスを冷静な顔で見やるとリヴァイは静かに口を開いた。
「お前が俺のためにそうやって怒ってくれているのは嬉しいが、こっちにも事情ってもんがあるんだ」
「は…なにを…言っているのです?その事情とはなんなのですか」
目を釣りあげて鋭く見つめているバリスをチラリと見たかと思えば、またリヴァイは冷たい表情を貼り付けたまま視線を落とした。
その様子に、バリスはついに真剣な目をして話し出す。
「リヴァイ兵長、私にはその事情は関係ないから何も言わないおつもりなのでしょうが…私にだって知る権利はありますよね?
そして好奇心というものは、人間ならば誰にも容易く抑えられるものでは無いと言ったのは、あなたですよ」
その言葉に、ようやくリヴァイの表情が変わる。
一瞬目を見開いたかと思えば眉を僅かに下げ、そして自嘲気味に口角を上げた。
「そうだな…確かに俺はそう言った。」
メリッサとのことで、よくバリスに彼女を呼び出してもらったりしていた時だ。
リヴァイは口角を戻すと、藍鼠色の瞳をバリスに向けそして細めた。
バリスはそのゾッとするほど美しく光る冷徹な眼光に息を飲む。
「お前は…誰かを本気で愛したことがあるか?」
バリスの目が見開かれる。
そんなことを突然聞かれるとは思ってもみなかったのでドキリと鼓動が跳ねたのが分かった。
「…どうでしょう。わかりません…」
「俺は本気であいつを、ルーナを…愛してると思ってた。でも今更になって分からなくなったんだ。俺はただ、あいつを支配したいだけなのかもしれない、と。」
支配…
それは相手のことを考えず、
ただ自分の思い通りに、欲望のままに、
従わせ、束縛し、操り、
そして自由を奪うこと。
リヴァイの美しい瞳が揺らいだ。
そしてバリスは リヴァイのこんな角度まで下がった眉を初めて見たと思った。
「俺はあいつのことを知れば知るほど、本当は何も分かっちゃいねぇと気付いた。だが結局あいつも他人なんだから仕方ねぇと…そう思った」