Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第7章 第32回壁外調査
「あれだけ完成された陣形だと隊列を離れただけで目立ちそうだ。陣形を乱すリスクを考慮しても、壁外調査中に書類を奪うのは諦めた方が良さそうだな...
俺たちの配置されている後衛から、ほぼ先頭にいるエルヴィンの場所まで誰にも気付かれずに行くのは難しい...それよりも生きて帰ることに集中すべきだぜ、まったく」
3人きりになったところでファーランがコソッと話し出す。
それを聞いたイザベルが口を開く。
「...俺もそれがいい。書類はもちろん大事だけどアイツらの邪魔にはなりたくない。
俺、ここの奴らがこうやって壁外に来る理由がなんとなく分かった気がする。壁を越えるのは俺たちが地上に行きたいって上を目指すのに似てるんだ。地下の友達にも上を夢みたまま死んだやつはたくさんいる。そいつらを見て絶対上に行ってやるって思った。...それって...」
「巨人をぶっ殺しに壁の外へ出るのと似てる...か...」
リヴァイが口を言葉を繋げると、
「うん。なぁ兄貴、変だと思うかもしれねぇけどさ、みんなと話してみて思ったんだ。あいつらにはまた壁外で暴れてほしいって。これからも...何度だって...」
イザベルは言葉を濁した。
「...やれやれ、そのうちお前らが心臓を捧げるとか言い出す前に、書類を奪う計画を立て直さなきゃな...」
ファーランは頭を抱えてため息混じりに言った。
リヴァイはその時、ルーナが言っていた夢の話を思い出していた。
ルーナはエルヴィンとの夢である、巨人と歴史の謎を暴くと言っていた。
調査兵団...正直こんな組織には何も思っちゃいなかった...
だが、こんなに簡単に次々と命を落とす犠牲の上に成り立ち尚もエルヴィンやルーナは夢に向かって足を進めている。屍を越えて...
俺はなぜここにいるんだ?
「世界を人類の手に取り戻すためならその礎として心臓を捧げることに悔いはないだろう」
エルヴィンの言葉が頭から離れないでいた。