Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第36章 パラドックス■
ルーナの腕が背中に回る。
「お前を知りたい。1つ残らず全部。なのにいつまでも掴みきれねぇ…」
首筋に顔を押し付けたまま悔しそうな声を出すリヴァイを、ルーナはギュッと抱きしめた。
「私も…同じこと思ったことあるよ。でも…どんなに愛していたとしても…親友だったとしても家族だったとしても恋人だったとしても夫婦だったとしても双子だったとしても…他人ってことには変わりないんだよ…だから全てを理解することはできない」
「…俺はそれでも理解したい、全て。お前のことを。」
理解したい。
それは本当は、ただ自分のものにしたい、なのではないかと思った。
ルーナの全てを、理解するのではなく自分だけのものにしたいのだと。
この手に全て掴み取って、
逃げていきそうならばいっそ、握りつぶしてしまいたいとさえ思う。
それは、
理解ではなく独占欲。
優しさではなく執着心。
そのことに、ほんの少しだけ気づいている自分がいる。
けれど認めたくなくて、
ただ目の前の女を愛しているだけだと自分に言い聞かせて
自分をずっと騙してきたのかもしれない。
立場上、嫉妬心や独占欲を周りに悟られないようにしてきた。
けれど本当は全てさらけだしていたいとずっと思ってきた。
こいつは俺のものだ、だから誰も近づくな、触れるな、話すなと、
湧き出る欲のまま、一瞬たりとも掴んで離したくないと。
自分は本当はただの目の前の女に溺れている男で、
嫉妬心や独占欲は本来なら人一倍強い。
愛しすぎているからそれに比例しているとかじゃなく、
そもそも自分はこういう男なのだと自覚していた。
それを随分長い間、誤魔化すように押さえ付けて耐え続けてきた。
それがもう、
限界だった。