Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第36章 パラドックス■
リヴァイはなるべく感情を表に出さないように努め、ルーナの前に歩み寄る。
?といった表情をしているが、明らかに瞳が揺らいでいる。
虚ろな目ではない。
「ルーナ…」
「うん?」
「…隠さなくていい。」
「…え?」
みるみる眉間に皺が寄り始めるルーナが逃げ出さないように両手首を取り壁へ押しやる。
軽く壁に背中がついただけだが、ルーナが小さく悲鳴を上げた。
「今日、あのガキと何してた?」
ルーナが唾を飲み込む音がする。
冷徹な三白眼がそれを真っ直ぐ見つめる。
「なぁ、答えてくれよ。何してたんだ?」
「…くん…れん…」
「どこで」
「訓練場…で…」
「なんの」
「りっ…たいきど…と、あと雷槍…の…」
「それだけか?」
ルーナの視線が僅かにずれ、そしてまた戻る。
「そもそも俺は、あのガキって言っただけで、誰とは言ってないんだが」
ルーナの目が見開かれ、唇が震え出す。
「お前は一体誰のことを喋ってるんだ?」
ルーナが呼吸を忘れていたのを思い出したかのように短く息を吸った。
「なぁ…ルーナよ…」
目と鼻の先までルーナの顔に近づける。
壁に貼り付けている両手首が震え出し、ルーナが目を瞑って俯いた。
「どうして何も答えない?」
「・・・」
「俺がメリッサにキスをしたから、それの仕返しか?」
「違っ!!」
バッと顔を上げてようやく声を出した。
ルーナが ぐっと押し返そうとしてくるのでその腕に力を込める。
「離…して…」
「あぁ。話が終わってからな」
リヴァイは冷静さを保ちつつも息が苦しくなり、目眩がしてきていた。
目の前にいる顔を強ばらせているルーナを直視するのが辛くなってくる。
そして心の中で何かが暴れ回り、それを抑え込むのに格闘していた。