Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第36章 パラドックス■
その後のリヴァイは当然仕事も何も手につかなかった。
呼吸をすることさえも苦しく、ただただ目の前にある水晶を眺めながら吐き気を堪えた。
頭に血が上っていてくらくらと目眩がし、握っていたペンを落とす。
ルーナはついに正気を失ってクラムとそんなことをしたのだろうか?
けれど、例え正気を失っていたとしてもだ。
許せない。
ルーナのことはともかく、それに乗じたあのガキのことが。
いや、もしも正気だったとしたら?
それをまずは確かめたい。
このまま何事も無かったかのようにはしていられるわけがない。
まずはルーナに問いただす他無い。
そして立ち上がる。
しかしどう問いただそうかと思い動きを止める。
もしも正気じゃないままクラムとキスをしたのだとしたら、
きっとショックと罪悪感に駆られるだろう。
なんてことをしてしまったんだと
取り返しのつかないことをしてしまったと
自分をまた傷つけてしまうかもしれない。
俺の傷なんかはどうだっていい。
そうやってルーナ自身がまた傷をつけてしまうのだけは避けたい。
リヴァイは立ち上がったまま視線を床に落とし
そのまま茫然とひたすら葛藤していた。
そして決心する。
ルーナの様子を伺ってからにしようと。
何か言ってくるかもしれないし
何事も無かったかのようにしてくるかもしれない
それまではこちらも何事もなく振舞おうと。