Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第36章 パラドックス■
それは2時間前の出来事だった。
バリスがモブリットと共に、先日の雷槍についての装備点検や分解作業をしていた時だ。
「ん?あれはルーナさん…ですよね?」
モブリットが見つめるその先にはルーナがクラムの腕を引っ張ってずんずんと歩みを進めている。
「何をしているんでしょうね?あの兵士が何かしでかしたのかな」
「そうだろうなきっと。なんか無理矢理引っ張られているし」
そうは言ったものの、どうにも妙な緊張感がしてバリスは目が離せなかった。
ルーナの様子が少しでもおかしかったら必ず報告するようにとリヴァイに以前から言われていたからだ。
監視をしているようであまり気分は良くなかったが、精神状態があまりよろしくないと聞いていたし、なによりそこまで自分がリヴァイ兵長に信頼されているのだという事実がバリスをそうさせた。
「・・・ルーナさん、どこまで引っ張ってく気だろう?」
モブリットのその言葉に返事をするように、バリスは言った。
「ちょっと様子を見てくるよ、モブリット、後は頼めるか」
「あぁはい。わかりました」
密かについて行った先は、兵舎の裏側だった。
建物の隙間からそっと見やると、向かい合って何かを喋っているのが見える。
何を話しているのかが気になるがこれ以上近づいたら気づかれると思い、ジッと身を潜めて様子だけを伺う。
すると突然クラムがルーナに口付けをした。
手がルーナの後頭部に滑り込んでいく。
っ!!あのガキ…
やっぱりリヴァイ兵長の言っていた通りルーナさんに手を出した…
そう思って怒りに震えた時だった。
唇が離れた瞬間に、今度はルーナがクラムの両頬を包み、半ば強引にとも取れるような体勢で噛み付くようなキスをした。
クラムは一瞬固まっていたかと思えば、頬にあるルーナの両手を握りそのまま壁に押し付けて激しくキスをし始めた。
バリスは目の前の光景に驚愕し、夢かとも思ってしまったくらいだ。
その官能的すぎる様子を見ていられなくなり、気付いた時にはその場を離れてしまっていた。