Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第36章 パラドックス■
「あの…リヴァイ兵士長…」
部屋に来るなり視線を泳がせ、妙な緊張感を漂わせているバリスを訝しげに見やるリヴァイ。
「どうした」
「・・・えっ…と…」
「なんだ、どうした。何かあったのか?」
ただ事ではないかもしれないと思い、突っ立っているバリスの元へつかつかと進んでいく。
目の前で睨みあげるようにしてジッと見つめてくるリヴァイを前にして、バリスはやはり言えないと思い、誤魔化そうと思考を巡らせた瞬間だった。
「まぁここへ座れ。何を迷ってるのか知らんが、何かあったなら全て包み隠さず俺には話せ。いつもそう言ってるだろう」
そう言っておもむろにソファーに座らされ、押し黙るバリスに紅茶を差し出した。
バリスはそんな事までされてしまい、ますます言いづらくなってしまう。
しかしやはりリヴァイ兵長には隠し事はできないし、事が大きくなってからでは大変なことになりそうだと思い、バリスは紅茶を1口飲むと、ゆっくりと顔を上げた。
ようやく何か言い出す気になったか、とリヴァイは目を細めて真っ直ぐバリスを見つめる。
バリスが覚悟したように目をつぶり息を大きく吸った。
「リヴァイ兵長…先程私は…あるものを見てしまいまして…やはりこれは兵長にはきちんと報告すべきだと…判断しました…」
「ほう。何を見た」
バリスが目を開き、膝に置いてある手をギュッと握ったのが分かる。
「クラム…と言う名前でしたよね、あの兵士は…」
その名前を聞いたリヴァイの眉がピクリと動く。
しかし、ここまで来たらもう全て言うしかない。
「そのガキがどうかしたか?」
「はい、えっと…その兵士と…ルーナさんが…キ、キスを…していました…」
「・・・」
目の前のリヴァイの表情が固まったままで何も言わないのでバリスは焦り出す。
「す、すみませんいきなりこんな報告を。仕事には関係の無いことなのにっ…ただ私も驚いてしまいまして…」
「・・・」
「あの……えっと…」
「で?どこでどんな状況で?」
ようやく口を開いたリヴァイの表情が至極冷静で、そちらの方が驚いてしまった。
すぐに怒りの形相になりどちらかの方へ飛んでいってしまうのではないかと覚悟をしていたからだ。