Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第35章 心臓の一部
「どうせたくさんするんなら、たくさん快楽を感じたいと思ったんですよ…だからしょっちゅう地下街で…」
リヴァイの目が見開かれ、以前メリッサが指輪と共に置いていった瓶を思い出す。
「やはりお前…あの時の妙薬は地下で…」
「ふ…リヴァイ兵長…すぐにあれが妙薬だと気付いたので…なんでも分かるんだなって思っていたけど…考えてみたら地下街出身ですもんね…」
「あぁ。あれは地下でよく出回ってるやつだ。何度も見たことがあった。」
「ですよね…でも…一つだけ間違ってましたよ…あれは兵長に使おうとしたんじゃない…私自身に使おうと…した…」
リヴァイが無機質な表情のまま目の前のメリッサを見下ろす。
「お前はそうやって、欲望のままただの獣みてぇに腰振ってくる奴らに身体差し出して満足だったのか?…虚しくはなんなかったのか?」
「なりませんよ。だって皆…悦んでいた。私を…求めていた。」
「そんな奴らがお前を愛してくれてると錯覚でもしてたのか?お前の心の隙間を埋めてくれるとでも思ってたのか?」
「・・・埋めてくれましたよ」
「それは行為の最中だけだ。」
厳しい視線でキッパリと言い放ったリヴァイに、メリッサは虚ろな目を逸らす。
「なぜ自分を犠牲にする?」
「犠牲にしてたんじゃない。互いの了承を得て求め合うことの…何が犠牲なのですか?何が…いけないのですか」
「心から望んでもねぇことをするのは、自分自身を傷つける。その傷は見えねぇから気付かねぇのかもしれねぇが、確実に刻まれてるんだ。…お前のここに。」
そう言って手を置いたのはメリッサの心臓だった。
メリッサは下唇を僅かに噛み締め目を閉じた。
そして当てられているその手を震える手で握る。