Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第35章 心臓の一部
トントン
ノックの音がし、リヴァイが扉を開けたかと思えば目の前にはクラム、カイル、サラが立っていた。
全員泣き腫らしたように目が真っ赤に腫れている。
しかしその目は真剣な光を宿していた。
「お願いがあって来ました。」
僅かに声が潤んでいる。
「リヴァイ兵長、今夜だけメリッサについていてあげてください」
「無理は承知です。でもお願いです。どうしても彼女の傍にリヴァイ兵長がいてあげてほしいんです」
「お願いします…」
そう言って頭を下げる3人を慌ててルーナが制止した。
「かっ顔を上げて3人とも!…大丈夫。ずっとリヴァイがついてる。ね?」
リヴァイを横目に見ると、明らかに戸惑ったような目をしている。
「お前らは…いいのかそれで。もう…」
別れはもう済んだのか?
そういう意味なのだとこの場にいる誰もが悟る。
「はい。俺たちはもう充分です。」
そう言って顔を上げた3人の目からは大量の涙が零れ落ちている。
一滴も涙を流さない自分たち2人を見てどう思っているだろうと、ルーナは思ってしまった。
悲しみ、悔しさ、情けなさ、いろいろな感情が凄まじい勢いで暴れ回っているというのに、泣けない自分はそれを少しでも逃がす術がない。
そして目の前で流れ落ちている大量の雫に、そんな自分たちを責められている気にさえなってしまう。
「悪かった。お前らの仲間を守ってやれなくて…」
掠れたような声で言うリヴァイに、3人は涙声で返した。
「いえ。メリッサは本望ですよ。」
「あいつは喜んでます。兵長を救えたと。」