Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第35章 心臓の一部
「お前らは…地下には行ったことがねぇだろう?」
メリッサ以外が頷いた。
少々疑問符が浮かんだが無視して話を進める。
「お前らは幸せだ。地上で生まれほぼ不自由なくここまで育ってきた。ハッキリ言って地下街はクソ溜めみてぇな所だ。食い物も仕事もろくな医療もねぇ。窃盗や人殺しなんて日常茶飯事。むしろそれができなきゃ殺られるだけだ。俺もそうして生きてきた。罪を犯してるなんて思ったことすらねぇ。これが唯一の生きる術だったからだ。」
4人の瞳の色が変わり僅かに揺らいだ。
眉に皺が寄り始めている。
「お前らはいい顔をしてる…地下で生まれてたら真っ先にセリにかけられ売り飛ばされてただろうな…」
全員の顔が強ばり出したところでリヴァイはフッと薄笑いを浮かべた。
「俺にもお前らみたいに仲間はいたさ、何人も。だが馬鹿みてぇにどんどん死んでいったな。一緒にここへ来た親友も目の前で巨人に食われた。」
「・・・」
「お前らは自覚した方がいい。今もこうしてまだ隣に大切な仲間がいることを。この怖いもの知らずの馬鹿4人組が揃って健在なことをな。」
全員の息を飲む音が聞こえた。
チラチラと目だけを動かしている。
「ほら見ろ。通夜みてぇになっちまったじゃねぇか。俺のせいじゃねぇからな」
「リヴァイ兵長はっ、そのっ…大切な仲間を失ったとき…どうされたんですか?どう立ち直れたんですか…」
リヴァイの真顔が微かに崩れ、誤魔化すように視線を落とした。
「…立ち直るもクソもねぇだろ。こんな世の中だ。そもそも俺は何度も自分の班を全滅させ、数え切れねぇほどの部下を失ってきた。ゴミ屑みてぇに握り潰され噛み砕かれ口に放り込まれ、遺体だってほとんど回収できてねぇよ。悼む余裕も暇もどこにもない。
…だがその度に…あいつに救われたことは事実だ。」
あいつとはルーナのことなのだろうと誰もが理解していた。