Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第35章 心臓の一部
「ところでリヴァイ兵長は、なぜあんなにお強いのですか?兵団で訓練を受けたことはないと聞いたことがありますけど」
「あぁ、ねぇな。俺はエルヴィンに無理やり連れてこられたようなもんだ。調査兵団なんて目指そうと思ったことすらねぇ」
「ではなぜですか?強さの秘訣を知りたいんです!」
面倒くさそうに顔を上げると、目の前には先程とは別人のような至極真剣な4つの顔がこちらを凝視している。
「そんなことは俺にだって分からねぇよ。ただ子供の頃…ナイフの握り方を知ったその日から…それだけだ。」
一瞬キョトンとした表情になる4人だったが、すぐにまた真剣な顔つきに戻った。
「そういえばリヴァイ兵長はいつも逆手持ちですよね?!」
「…その方が俺には扱いやすい。殺傷能力も上がるしな。危険だからこれだけは真似するなよ」
そう言ってまた地面に視線を落とす。
「リヴァイ兵長って、地下街の有名なゴロツキだったって本当ですか?」
リヴァイが目を見開いてまた顔を上げる。
「…それはあいつが、ルーナが言ってやがったのか?」
「あっ!いえ!普通に俺らの間ではもう有名な噂ですよ!」
眉間にいくつも皺が寄り始めたので少し焦ったようにクラムが言った。
「・・・そうだ。俺は生まれた時から地下街で育った。地上にすら出たこと無かった。居住権もなかったしな。」
全員の顔が驚きの表情になり目を見開いてリヴァイを凝視している。
よく分からない奴らに8つも眼光を向けられ一瞬たりとも逸らさないこの状況はどことなく居心地が悪くなる。
「・・・でけぇ目だなてめぇら。で?そんな話は知りたくねぇだろう。もっと俺の完全無欠な英雄じみた話が聞きてぇんだろう?」
「違います。さっきも言いましたが、俺らはリヴァイ兵長の強さの秘訣が知りたいんです。」
「チッ、だからそれはさっき」
「だからこそその話は是非とも聞きたいんですよ。リヴァイ兵長。」
目の前の8つの眼光の先には燃える炎が見て取れるほどの鋭く真剣な表情だった。
こんな顔で自分が見つめられたのはいつぶりだろうと思った。
そして思い出す。
そうだ、あの時の…俺を捕らえに来た時の…
エルヴィンとルーナの目だ…と。